ショパン・ナショナル・エディション


ポーランドが国家を挙げて「ショパン・ナショナル・エディション」を立ち上げ、ショパンの作品を全て洗い直し、優れた原典版を製作していることは世界的に知られています(ナショナル・エディションについては、こちらをご覧下さい)。50年にわたるプロジェクトの最終段階を代表する出版が、二曲のピアノ協奏曲です。

全ての資料を詳細に検討する研究により、特に『協奏曲第一番ホ短調』の場合「これまで150年間使われてきたスコアとパート譜は、ショパン自身が作成したオーケストレーションから、かけ離れたもの」ということが明らかになりました。ショパンは、自分が協奏曲を演奏するためにパート譜を作成して持っていたのですが、消失して現在に至ります。現在世界的に使用されている楽譜は、当時出版社が、数人のオーケストレーターにスコアを書かせ、「ショパンが一応了承」したといわれているものです。

しかしショパン自身は(消失したスコアの他に)オーケストラの楽器を詳細に書き込んだ伴奏部分のピアノ・スコアを残しており、また友人のカルクブレンナーやフランコムも、パート譜を元に、ピアノ・リダクションを作成しており、それらが決定的な資料となっています。
ナショナル・エディションは今回、これらの資料から、オリジナルにできるだけ近いスコアを復原することにしました。その結果、従来のものと全く違う形のスコアが完成したのです。ナショ ナル・エディションでは、これを「コンサート用スコア」と呼び、従来のスコアを再校訂した「歴史的スコア」と区別しています(ナショナル・エディションは、二種類のスコアを出版しますが、演奏用のパート譜は「コンサート用スコア」用のものだけ準備されます)。

第一楽章の冒頭から、これまで経験したことのない響きがします。中音域の重さが払拭され、旋律ラインが繊細に浮き上がる。Vn.1.の執拗なトレモロも、コントラバスによる低音強化も、ショパンの意図に従い調整され、全体的に非常にアットホームで室内楽的な雰囲気。これこそがショパンの持ち味でしょう。ピアノのソロパートも、極めて丹念に校訂され、変更部分は全て納得の行くものです。おそらく近い将来、このスコアがショパンのものとして、世界的に認められることになるでしょう(フル・スコアのみは販売されます)。

料金等は、演奏会の種類や、放送録音の有無などをご確認の上、お問い合わせ下さい。


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